世界一と言われる築地の魚市場。実は、まぐろや鮮魚のほかにも「合物市場」と呼ばれる、魚の開きや丸干しを扱う場所があり、干物などの加工品も毎日セリが行われています。魚に旬があるのと同じく、その加工品である干物にも旬があります。季節柄、秋刀魚の美味しい季節、もちろん生の塩焼きも美味しいものですが、水分を抜き、旨味を凝縮する「干物という調理法」を経たさんまも、それは美味しいものです。
さんまといえば、大根おろしにすだち、そんな食べ方が一般的ですが、築地の仲卸、村和の店主、村山浩三さんは、「わさびで喰ってみな」と言います。「妻物は築地」と言う言葉があるように、魚の妻＝ワサビが豊富な築地ならではの食べ方ともいえますが、要はアブラののった魚をサッパリと戴くのに、ワサビをあわせるのがとても旨いんだよということなのです。
わさびは、金物で引くと辛味が立ち、鮫皮で引くと甘みと香りがたちます。お好みの引き方で引いたワサビを大根おろしにあわせ、このさんまを召し上がってみて下さい。市場の仲卸が進める食べ方で、ちょっぴり築地気分を味わってみるのもご一興です。
