商品データ

漆塗と金属加工の技がコラボレーション

金胎麗漆 溜塗炭粉蒔ろっくぐらす

商品番号:ns200048

20,000円(税込)

  • 金胎麗漆 溜塗炭粉蒔ろっくぐらす 緑

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  • 金胎麗漆 溜塗炭粉蒔ろっくぐらす 本朱

    本朱

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漆塗と金属加工の技がコラボレーション

ドリンクをおいしく包み込む、“まゆ”のようなステンレス製グラス

「底の部分が丸くすぼんでいるグラスはあるけれど、飲み口の部分もすぼんでいる金属製のグラスは珍しい。この“まゆ”のようなフォルムを出すのが難しかった」

 そう話すのは、相和(あいわ)シボリ工業の大浪 忠さん、大浪友和さん親子。“へら絞り”という金属加工の技術を使って、今回紹介する「金胎麗漆 溜塗ろっくぐらす」「金胎麗漆 炭粉蒔ろっくぐらす」「金胎麗漆ビアタンブラー(L/S)」を作り出した生みの親だ。

 絞り機に凸状の型を設置し、そこへ加工したいステンレスをあてがい、回転する円盤のようなものをレバーで操作する。その円盤で、“絞る”ようにしてステンレスを丸みのあるグラス状に成形する。

 型に沿って成形したとき、丸くすぼんでいるのが底側だけなら型から製品をすぽっと取り出せるが、飲み口側もすぼませてしまうと、当然型がひっかかって抜けないという問題がある。

「結果的に、種類の異なる型を2つ使うことでこの問題を解消しました。まず底側から本体を成形して、次に別の型を使って飲み口側も丸く成形するんです」(友和さん)

 そして、美しいアール(製造業界、建築業界で使われる、曲線を指す言葉。Rのこと)状の、“まゆ”のようなフォルムのグラスが完成した。

 今回の製品作りのスタートは、約4年前の2011年に遡る。きっかけは、川崎市に昔からある「PR製品事業」という事業。これは川崎市の市長がさまざまな施設への訪問時に、“川崎らしさを象徴するお土産”を持って出向き、川崎の製品をPRするという事業だそう。

 そこで、工業地帯であり、もの作りの街である川崎市で、2011年に川崎市の職員の方から、「物作りをPRする製品を作ってみないか」、と相和シボリ工業に話がもちかけられたのだ。

 「そこで職員の方が連れてきてくださったのが、『TAKAHIRO HIRAKAWA DESIGN』のデザイナー・平川貴啓さんでした。職員の方や平川さんと、私たち、関係者4~5人で、じゃあ実際どんな製品にしようかって話をしたときに、『最終的にはビールで乾杯したいよね』って話になりました。『それなら……』ってことで、最初にステンレス製のビアタンブラーを作ることになったんです(笑)」(友和さん)

へら絞りのステンレス製タンブラーに、3人の職人の手が加わった

 こうして一同は、PR製品事業の一環として、そして2012年の「東京インターナショナル・ギフト・ショー」への出展を目指し、ステンレス製のビアタンブラーを製作することに。このまゆのようなフォルムを考案したのは、デザイナー・平川貴啓さんだ。平川さんが作成した図面から友和さんが金型を作り、前述した絞り加工を行う。

 タンブラーを仕上げるのに問題となったのが、「内側をキレイに研磨すること」だった。最初は相和シボリ工業が自社で行い、ギフト・ショーに出品したものの、「どうしても満足のいく出来にはならなかった」と友和さんは語る。

 そんなとき、ギフト・ショーで、たまたま研磨のプロ集団「磨き屋シンジケート」の関係者が相和シボリ工業のブースを訪れた。友和さんが、タンブラーの内面の磨き加工について相談したところ、紹介してもらったのが小林研業という企業。

 実はこの小林研業、Apple社製『iPod』の背面の美しい鏡面研磨を手掛けた企業だったのだ。こうしてタンブラーの内側は、表面にも負けない美しい仕上がりとなった。

 また、その時期と並行して友和さんは、展示会で知り合った漆のコーディネーター・石川恭子さんに相談を持ちかけていた。友和さんの思惑は、「タンブラーの内側の傷を、漆などを塗って隠せないか」というものだった。

「内側に漆を塗ることは難しかったのですが『漆はキレイだから外側に塗ったらどうか』と、石川さんが提案してくれて、新潟県で漆職人の神様的存在である垣沼旗一さんを紹介してくれました。そして『ステンレス製のタンブラー・ロックグラス』に付加価値をつけた、この『金胎麗漆』のブランドが誕生したんです。いまは受注生産で、注文が入ると、このステンレス製のものを垣沼さんに送って、漆を塗ってもらっています」(友和さん)

 漆を塗る工程は、まずステンレス製のグラスの表面をサンドペーパーでこすり、あえて“目が粗い状態”にするのだそう。そこで「本朱」という下地の漆を塗り、焼き付けを行って乾かす。何度かその工程を繰り返した後、透明の漆を塗ったのが、「溜塗」という、ツヤが美しいタイプのグラス。もうひとつが、下地の漆の上に、透明の漆ではなく「炭の粉」をまいた「炭粉蒔」という商品だ。へら絞りから漆を塗り、完成に至るまで実に2ヵ月の時を要するというが、その分、思わずずっと眺めていたくなるような、深い味わいの美しい器となる。

「『金胎』とは、工業用語で金属のボディという意味です。そして、“麗”という字をつけたのは、もともと『麗しい』の語源の中に、『“うるしが美しい様子を表現して麗しい”と呼んだという説』があり、それを気に入ってこの字を採用したんです」(友和さん)

 その名に違わず、麗しい漆のビアタンブラーとロックグラス。最初に完成した商品で飲んだ酒の味はさぞかし格別だったに違いない。

 タンブラーやロックグラスのもととなるステンレス。最初は円で、平らの形状だ。

 回転する円盤状のローラーをステンレスに押し当て、絞り機に設置した型に沿うように絞って加工していく。

 タンブラーの場合は、厚さ1.5mm のステンレスを薄く延ばして成形していく。均一な厚さでキレイに成形するこの絞り技術が、職人技だ。

父から子へ、子から孫へ。次の100年を目指して

「人と話したり、向き合ったりするのは苦手なんですよね。“もの”と向き合っているほうが、性に合っている(笑)」と話すのは、大浪 忠さん。現工場長である大浪友和さんの父親で、“へら絞り歴50年”を誇る、生粋の職人である。もともと忠さんは、板金加工業を営んでいたお兄さんの影響で金属加工を始め、さまざまな金属を、お客さんの要望に合わせて成形し、納品してきた。

「とにかくお客さんの要望に応えたい、その一心でここまでやってきました。お客さんに育ててもらったようなもんですね」と、忠さん。

 通常、金属加工業者には、加工できる金属に得手不得手があり、特定の金属を扱っている業者も多い。しかし、お客さんの要望には「NO」と言わず、アルミニウム、ステンレス、銅、真鍮、銀、さらにはモリブデンやインコネルといった、レアメタルと呼ばれる稀少価値の高い金属まで、“もの”と向き合い、なんでも加工した。ビルや工場の外についているダクトや、自動車のマフラー、野球場の巨大な照明につける投光器(電球を覆い、光を反射させる笠のようなもの)など、さまざまな成形を行い、相和シボリ工業を一代で工場を軌道に乗せたのである。

 そんな忠さんを、震災の悲劇が襲った。

「私の出身は宮城県の石巻で、2011年の東日本大震災で実家の家族を失いました。あまりのショックで眠れない日が続き、一時は仕事も手につかない状態になりました」(忠さん)

 忠さんを支えたのは、他でもない、奥様の美津江さんと、息子の友和さん。そんなとき、「かわさきマイスター」の話が舞い込んできた。川崎市では平成9(1997)年度から、「手」や「道具」を駆使し、市民の生活を支える「もの」を作り出す現役技術者を「かわさきマイスター」に認定する制度を確立。技の普及、後継者育成などの活動を支援していく取り組みを行っている。

「このままじゃダメになってしまうよ」と、友和さんの後押しがあって、年間5人しか選ばれない狭き門である「かわさきマイスター」に挑戦したのだ。

「まぁ、“ダメ元”でやってみようかって。一次審査、二次審査とあって、二次では実技のチェックもありました。どうせ受からないと思っていたので、合格と聞いて驚きました。このマイスターをきっかけに、金胎麗漆ブランドも誕生しましたし、チャレンジしてよかったですね」(忠さん)

 そして今、相和シボリ工業の仕事は実質、息子の友和さんが引き継いでいる。

「私は現在69歳。息子はいま工場長の肩書きを名乗っていて、一緒に仕事をしていますが、70歳で代表取締役を息子に譲りたいと思っています」(忠さん)

 その友和さんは、相和シボリの製品を、そして“川崎市のものづくり”のブランド力をもっと広めようと、積極的に展示会に出展したり、さらにはこの「金胎麗漆」シリーズ以外に、へら絞りのトレイやコースターをラインナップした「Onami」というブランドも確立した。

 内から外へ――。忠さんの手から、友和さんの手へと物作りのバトンは受け継がれ、相和シボリ工業は新しい変化をもたらそうとしている。今後、友和さんの作る製品にも注目したい。

相和シボリ工業

〒213-0014
神奈川県川崎市高津区新作3-3-2
相和シボリ工業を一代で築いた職人気質の忠さん(写真中央)と妻の美津江さん(同右)、長男の友和さん(同左)。

 

商品詳細

サイズ78×78×76(mm)
素材・原材料ステンレス、漆
生産国日本

ご注意

  • 漆製品は、お届け時の落ち着いた色から使うほどに色が変わります。経年変化をお楽しみください。

納期のお知らせ

こちらの商品はご注文をいただいてからの生産となるためお届けまで約1ヶ月半お時間をいただきます。

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