2016.04.24

海洋冒険家、白石康次郎とセイコーがタッグ。GPSソーラー機能を搭載した海洋ウォッチを開発

日本を代表する海洋冒険家、白石康次郎さんが今年11月にフランスからスタートするヨットの単独無寄港世界一周レース「ヴァンデ・グローブ」への参戦を表明した。アジアからは初参戦となる夢舞台を前に、海洋ウォッチとしては初のGPSソーラー機能を搭載した「PROSPEX MARINEMASTER OCEAN CRUISER(プロスペックス マリンマスター オーシャンクルーザー)」をセイコーと開発。完成まで約1年半の歳月をかけて商品をプロデュースした。外洋レースにおける精度と信頼性を重要視して作られた頼れる“相棒”とともに世界一過酷なヨットレースに挑む白石さんに聞いた。

最新のレース艇からインスパイアされたデザイン

OCEAN CRUISERのプロトタイプの完成が目前となっていた昨年11月。くしくも白石さんは、世界で最も過酷といわれる世界唯一の単独無寄港世界一周ヨットレース「ヴァンデ・グローブ」(11月6日、フランス・ヴァンデ県・レ・サーブル=ドロンヌ港を出航)への参戦活動を本格化していた。レースに出場するためには数億円もの資金を調達しなければならず、参戦が実現すれば白石さんにとって8年ぶりとなる世界一周の戦い。そして、南半球一周およそ2万6000マイル(約4万8152キロ)を約100日間で走り抜ける帆走時の最強のパートナーとなるのが、自身が監修したOCEAN CRUISERだ。

 レース中はUTC(協定世界時)、ローカル時間(ヨットの航走地点の時間)、日本時間、出発地点である仏時間を同時に早くする必要があるため、OCEAN CRUISERを白石さんは「世界の海を股にかけるプロセーラーのための時計。まさにボクのためにある」と表現。ボタン操作一つで素早く現在地の時刻に切り替わり、光がある限り動き続けるGPSソーラーがレースを進めていくうえで重要なアイテムになるとみている。
 実際のレース中、たとえば日付変更線通過時にタイムゾーン修正機能を使用して、日付や時刻が素早く切り替わる様を見てみたいそうだ。「この時計がどんな動きをするのか、リアルタイムで(映像で)撮ってみたい」と白石さんは目を輝かせる。

 「最新のレース艇を想起させるディティールを盛り込んだ」とデザイン面の細かいこだわりが至るところに表現されている。船体を模したインデックスや、マリンコンパスの針をモチーフにした短針の色はエマージェンシーカラーのオレンジ。また、グローブ着用時も操作しやすいボタン、作業時にロープが引っかからないようにりゅうずやバンドをケースフォルムと一体化した形状など、すべて白石さんのアイデアだ。ユーザーには「この時計をすることでボクと一緒に世界一周をした気分になってほしい」と期待する。

たった一人で地球を相手にする壮大なレース

白石さんは高校卒業後の1985年に単独世界一周レース優勝者の多田雄幸氏(故人)に弟子入りし、1993年の26歳時に世界最年少単独無寄港世界一周を達成。2006年には単独世界一周ヨットレース「5OCEANS」クラスⅠ(60フィート)に参戦し、歴史的快挙となる2位でゴールするなど、日本の海洋冒険家の第一人者として活躍してきた。最近では児童福祉にも力を入れるなど、多方面で活躍しているが、50歳を目前にしてのヴァンデ・グローブ参戦については「たった1人で大きな地球を相手にできる経験をできるのは、この大会しかない」と20年以上前から出場を目標にしてきたという。

 単独、無寄港、無援助が条件で、途中いかなる外部からの物理的援助を受けられないまさに世界一過酷なレースでも、白石さんは「不安はない。(レースを)やりたくて仕方がない」ときっぱりと言う。「自信があるから冒険ができるのではない。(今まで)冒険をしてきたから自信ができた」。挑戦することの意義を、自らのライフワークでもある児童福祉の子供たちに背中で表現したいと考えている。

 現在は本番に向けてトレーニングに励む合間を縫って、スポンサー探しのために自ら営業に奔走する毎日。南洋に吹く強風と荒波という厳しい気象条件下で行われる危険なレースのため「優勝は約束できない」としながらも、「生死を問わず全力を尽くす」と誓う白石さんが、OCEAN CRUISERとともに新たな冒険への一歩を踏み出す。

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